庭と暮らしのノート vol.4 どんな木を植えたらいいですか?


こんにちは。年に一度の人間ドックが近づくと、急に禁酒を始めたりウォーキングを始めたりと、いい数字が欲しい!先生に褒められたい!と根の真面目なところが軒並み出てくる、グッドツーガーデン の柴田です。(その割にはいつも数字が悪いぞ!ということは普段はどれだけ悪いんだ(笑)。。(悲)。
お庭のお打ち合わせをしていると、よくこんなご質問をいただきます。「おすすめの木ってありますか?」私は、その質問をいただくたびに少し考えます。なぜなら、「この木がおすすめです。」と一言で答えることができないからです。
まず最初にお話しするのが、常緑樹と落葉樹の違いです。常緑樹は、一年を通して葉がある木です。一年中緑を楽しむことができ、目隠しとしても役立ちます。葉が落ちる量も比較的少ないため、お手入れの負担を抑えたい方にはとても人気があります。
一方、落葉樹は冬になると葉を落とします。「葉っぱが落ちるなら掃除が大変そう。」そう思われる方も多いのですが、私は落葉樹ならではの魅力も大好きです。春にはやわらかな新芽が芽吹き、花を咲かせ、実をつけ、夏には気持ちのいい木陰をつくり、秋には美しく紅葉し、冬には葉を落として暖かな日差しを家の中へ届けてくれます。
四季の移ろいを一番感じられるのは、落葉樹かもしれません。だから私は、お客様に「常緑樹と落葉樹、どちらがおすすめですか?」と聞かれたら、「どんな暮らしがしたいですか?」と、逆に質問をします。
一年中緑を楽しみたいのか。できるだけお手入れを楽にしたいのか。季節の変化を身近に感じながら暮らしたいのか。その答えによって、おすすめする木は変わります。庭づくりには正解があるのではなく、そのご家族にとっての”ちょうどいい”があるだけなんです。
最近は、SNSやインターネットで人気の木もたくさん紹介されています。
アオダモ。オリーブ。ソヨゴ。アオハダ。どれも本当に素敵な木です。でも、人気だからという理由だけで選ぶことはありません。私が一番大切にしているのは、「その家に似合うかどうか。」そして、「そのご家族の暮らしに合うかどうか。」です。
例えば、毎日リビングから眺める場所なのか。玄関で家族を迎える木なのか。休日にテラスで過ごす時間を彩る木なのか。同じ一本の木でも、植える場所が変われば、その役割も変わります。さらに、その木が5年後、10年後にどう育つのかも想像します。春にはどんな新芽を見せてくれるのか。夏にはどんな木陰をつくるのか。秋にはどんな景色になるのか。将来、枝が建物やお隣に影響しないか。剪定はしやすいか。植物は生きものです。だから私たちは、「今」だけを見るのではなく、「未来の景色」まで考えながら一本一本を選んでいます。
実は、お客様よりも私のほうが木を植える位置を何度も悩んでいるかもしれません。30センチ違うだけで、10年後の景色は大きく変わります。一本の木が家をより美しく見せることもあれば、逆に家の魅力を隠してしまうこともあります。だから図面だけでは決めません。現地に立ち、家を眺め、光の入り方や風の流れを感じながら、「この場所だ。」という一本の居場所を探していきます。
以前、お庭をつくらせていただいたお客様のお宅へ、数年後に剪定でお伺いしたことがありました。植えたばかりの頃はまだ小さかった木が、ご家族を見守るように立派に育っていました。その木を見ながらお客様が、「この木、子どもと一緒に成長しているんですよ。」と笑顔で話してくださいました。その言葉を聞いた瞬間、やっぱり庭づくりは未来をつくる仕事なんだ、と改めて感じました。
木は、今日のためだけに植えるものではありません。5年後。10年後。20年後。その木の下で、お子さんが遊び、お孫さんが走り回る日が来るかもしれません。ご夫婦でコーヒーを飲んだり、家族で笑い合ったり。そんな時間を想像しながら一本の木を選ぶこと。それが、私にとって一番楽しく、一番責任を感じる瞬間でもあります。
だから今日も私は一本の木を植えます。木を植えているようで、本当はその先にある暮らしを植えているのかもしれません。
緑は暮らしに息づきを与え、庭は人生の背景となる。
そんな風景を、これからも神戸の街に少しずつ増やしていけたら嬉しいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
株式会社グッドツーガーデン
代表取締役 柴田進矢
最近は、「おしゃれな庭にしたいです。」というご相談をよくいただきます。でも、「おしゃれな庭」って、一体どんな庭なのでしょうか。流行を取り入れることなのか、それとも長く愛される庭をつくることなのか。次回は、私が考える「本当におしゃれな庭」について、お話ししたいと思います。